ドラマ『良いこと悪いこと』はいよいよ終盤を迎え、物語の核心である「連続殺人事件の真犯人」が明らかになりました。
本作は、子ども時代の小さな“悪意”が、大人になってからどれほど深い悲劇を生むのかを描いた作品です。
この記事では、第9話までの内容をもとに、真犯人は誰なのか、動機は何だったのか、そしてまだ残されている謎について考察していきます。
※物語の重大なネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。
瀬戸紫苑（しおん）の過去と悲劇
物語のすべての発端となっているのが、小学5年生の頃の瀬戸紫苑（しおん）です。
5年1組になったしおんは、音楽の発表会でリコーダーの「ド」を失敗したことをきっかけに、
「ドの子」と呼ばれ、クラス内で執拗ないじめを受けるようになります。
その状況に耐えきれず、しおんは夏休み明けに転校。
表向きには「いなくなった同級生」ですが、彼女の心に残った傷は決して消えることはありませんでした。
夢を叶えた先で待っていた現実
大人になった瀬戸紫苑は、幼い頃からの夢だったピアニストになる夢を実現します。
ピアノ教室を開き、リサイタルも開催できるほどの実力者となっていました。
しかし、ある出来事が彼女の人生を再び狂わせます。
かつての同級生・高木が、自分の娘を連れてピアノ教室を訪ねてきたことでした。
この再会によって、しおんの中で封じ込めていた過去の記憶と恐怖が一気に蘇り、
彼女は再びピアノが弾けなくなってしまうのです。
苦しみの末、瀬戸紫苑は薬物によって命を絶ってしまいました。
真犯人は誰だったのか？
連続殺人事件の真犯人は、瀬戸紫苑の婚約者・宇都見啓でした。
郵便受けに並んでいた二人の名前が示す通り、宇都見はしおんと将来を誓い合った存在。
彼の犯行の動機はただ一つ、最愛の婚約者を追い込んだ過去への復讐です。
宇都見が行った犯行
作中で起きた数々の不可解な殺人は、すべて宇都見の手によるものでした。
- 貧ちゃん：鍵を奪い、マンションから突き落とす
- ニコちゃん：道路で突き飛ばして殺害
- カンタロー：火を使った殺害
- 大谷先生：いじめを黙認していたことへの制裁
- ちょんまげ：ナイフを持っていたにもかかわらず返り討ち
いずれも、子ども時代にしおんを傷つけた、あるいは守らなかった人物たちです。
なぜ「キング」だけは殺されなかったのか
宇都見は高木（キング）に対し、こう言い残して去りました。
「貧ちゃんもニコちゃんもカンタローも先生もちょんまげも、全員俺が殺した。
お前はいつまでも悪い子でいろ」
これは、単なる見逃しではありません。
宇都見は、キングに“生きて十字架を背負わせる”ことを選んだのだと考えられます。
自分を殺す役目すらキングに託し、彼の良心と罪悪感を一生縛りつける――それが最大の復讐だったのでしょう。
追悼コンサートと「カノン」の意味
瀬戸紫苑の追悼コンサートで、宇都見は二人の思い出の曲である「カノン」を最後まで弾き切ります。
その直後、高木はカッターナイフを手に宇都見を刺そうとしますが、
警察の介入により未遂に終わり、宇都見は逮捕されました。
もし刺されていれば、宇都見の思惑通り、すべての罪をキングが背負う結末になっていたのかもしれません。
残された謎と共犯者の存在
ここで一つ、大きな疑問が残ります。
宇都見は6年1組の生徒ではなかったという点です。
しおんたちの夢や、森のくまさんの替え歌、タイムカプセルの存在など、
細かい情報を宇都見が単独で知るのは不自然にも感じられます。
共犯者の可能性
考えられる人物として、以下の可能性が浮かび上がります。
- 卒アルを黒塗りし、タイムカプセルに関与した大谷先生
- 校外学習時に不審な動きを見せていたトヨ
誰かが宇都見に過去の情報を渡していたと考えると、
まだ物語の裏側には語られていない真実が隠されているのかもしれません。
まとめ
『良いこと悪いこと』の真犯人は、瀬戸紫苑の婚約者・宇都見啓でした。
彼の犯行は、単なる殺人ではなく、いじめという過去の罪に対する歪んだ裁きだったと言えます。
そして本作が投げかけるのは、「子どもの頃の悪意は、大人になっても消えない」という重いテーマです。
誰が本当に“悪い子”だったのか――その答えは、視聴者一人ひとりに委ねられているのかもしれません。