2025年5月12日、プロ野球界に衝撃が走った。
読売ジャイアンツの秋広優人内野手(22)と大江竜聖投手(26)が、福岡ソフトバンクホークスのリチャード内野手(25)との2対1トレードで電撃的に移籍することが発表された。
両チームともにリーグ優勝を狙う中での異例のトレード。その背景には、チーム事情や選手たちの将来性が深く関わっていた。
巨人の補強ポイントは「右の長打力」
巨人は主砲・岡本和真の離脱により、打線の中軸を担える右の長距離打者が急務となっていた。
左肘靱帯損傷により約3か月の離脱が見込まれ、4番の穴を埋めるため、ウエスタン・リーグで5年連続本塁打王を獲得しているソフトバンク・リチャードに白羽の矢が立った。
リチャードは今季序盤に成績が伸び悩み2軍落ちしたが、環境が変わればブレイクの可能性も十分。
守備位置も一塁・三塁が可能で、岡本の代役として期待されている。
秋広の放出は苦渋の決断
秋広優人は身長200cmのスラッガー候補として注目され、昨季は121試合に出場し打率.273、10本塁打と成長を見せていた。
しかし今季は打撃不振に苦しみ、5試合で7打数1安打と結果を残せていなかった。
背番号「55」を継承するなど球団からの期待も大きかったが、右打ちの補強を急ぐ中での放出は、巨人にとって苦渋の決断だったと言える。
大江の移籍でソフトバンクの中継ぎ陣を強化
トレードでソフトバンクに加わる大江竜聖は、通算149試合登板を誇るサイドスロー左腕。
今季は1軍登板がないものの、2軍では14回1/3で16奪三振と安定した投球を見せていた。
ソフトバンクは左の中継ぎに課題を抱えており、松本晴やヘルナンデスといった面々に加え、大江の加入はブルペンの厚みを増す補強となる。
リチャードに賭ける“覚醒”の可能性
リチャードは通算打率1割6分と苦戦が続いているが、打球の飛距離とパワーは球界屈指。
2021年にはプロ初本塁打が満塁弾という衝撃的なデビューを飾っており、巨人移籍を機に才能が開花する可能性もある。
打順や起用法次第で“覚醒”のチャンスが十分にあり、巨人首脳陣の起用法にも注目が集まる。
トレード成立の背景にある両球団の思惑
巨人は岡本の離脱という緊急事態、ソフトバンクは主力の故障と選手層の厚みを求めた結果、お互いの補強ポイントが一致したトレードとなった。
勝負のシーズン中盤での電撃的な動きは、優勝争いにおいて新たな風となるか。
今後の活躍が、両球団のシーズンの鍵を握ることになりそうだ。