元世界3階級制覇王者の**ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)**が、2024年11月に突如として引退を発表しました。
井上尚弥との対戦が絶望的となり、さらに国内外での活動制限や試合内容の低下も重なったことが背景にあるとされています。
ここでは、引退の真相や経緯、最後の試合となった亀田京之介戦の裏側まで詳しく解説します。
カシメロ、突然の引退発表
2024年11月14日、ジョンリエル・カシメロは自身のFacebook公式アカウントで引退を発表しました。
投稿の中で彼は次のように語っています。
「二度と戦わない。ごめん、みんな。もう戦いたくない。井上が相手じゃないなら、もう戦わないぜ!」
この発言はファンに衝撃を与え、世界中のボクシングメディアが一斉に報じました。
長年のライバル視をしてきた井上尚弥との試合が実現しなかったことが、引退を決意する最大の理由だったと見られています。
引退の背景にあった“複数の問題”
JBCからの処分
2024年10月、カシメロは日本ボクシングコミッション(JBC)から**「1年間の招聘禁止」処分を受けました。
これは、日本で予定されていた試合の計量で2度にわたる体重超過**が確認されたことが原因です。
この処分により、日本での試合出場が不可能となり、井上尚弥との対戦の道も完全に閉ざされました。
試合勘のブランク
また、カシメロは2023年以降、試合間隔が空きすぎており、コンディション面でもベストな状態とは言えませんでした。
かつての爆発的な攻撃力が影を潜め、試合ごとに動きの鈍さが指摘されるようになっていました。
亀田京之介戦で見せた“異変”
まさかの黒星と試合中の異変
カシメロの事実上のラストマッチとなったのは、2024年10月25日にキルギス・ビシュケクで行われた「SAIKO x LUSH vol.2」での亀田京之介戦です。
この試合は58kg契約の10回戦で行われ、階級的にはカシメロにとって重めの設定でした。
序盤から京之介のアウトボクシングが冴え、カシメロは攻めあぐねる展開。
中盤以降、スタミナ切れや動きの鈍さが目立ち、8ラウンド終了時にはインターバル中に嘔吐するシーンまで見られました。
解説を務めた亀田大毅はこの場面で、
「リングに上がった以上、どんな言い訳も通用しない。それも実力のうち」
とコメント。ファンの間でも「ナメていた」「完全に調整不足」との声が上がりました。
結果は3-0の判定で京之介が勝利。
カシメロにとっては約8年ぶりの黒星であり、彼のキャリアにおけるターニングポイントとなりました。
カシメロの心境:「井上と戦えないなら意味がない」
カシメロは2019年以降、井上尚弥への強い対抗意識を隠さず、SNSなどで挑発的な発言を繰り返していました。
しかし、度重なるトラブルや体重超過、興行上の問題から実現は遠のく一方。
「井上と戦うためにボクシングを続けていた」と語るほど、彼にとって井上戦はモチベーションの柱でした。
その夢が完全に絶たれた今、引退は彼にとって“必然の選択”だったのかもしれません。
まとめ
ジョンリエル・カシメロの引退は事実です。
2024年11月14日のFacebookでの引退表明は、井上尚弥との対戦が不可能となったこと、そしてJBCからの処分やコンディション不良が重なった結果でした。
最後の試合では、亀田京之介に敗れ、肉体的・精神的な限界を見せたカシメロ。
数々の激闘を繰り広げてきた“暴れん坊王者”のキャリアは、波乱に満ちたまま幕を下ろしました。
